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働き方改革というインチキ - 再配達問題から思ったこと

 働き方改革と言われています。だいたい、残業をなくすとか育休をとるとかいった話です。でも、今の現役世代にはとうてい無理な話なんですよね。

 政府がやらなくてはならないのは、働き方ではなく、雇い方の改革なのではないでしょうか。

 ところで、例のクロネコヤマトの問題について言わせてもらいます。
 あの問題、アマゾンの荷物が多く、再配達が多すぎて負担になっているためにヤマトが酷い目にあっているみたな、つまり、アマゾンの荷物が多いことと配達しても不在なことがいかにも悪いことのように報道されました。少なくとも私はそう受け取りました。だから、よく来てくれる担当のドライバーさんのことを思いだし、アマゾンで買い物をするのをためらったりもしました。

 でも、配達業者が責任をもって届けるのは当然です。不在がいかにも悪いように言うのは問題の本質をずらしているのではないでしょうか。そもそもの問題は、ヤマトの雇用形態と労働条件であり、経営側のシステム構築の不備であり、アマゾンの荷物を文字通り安請け合いしたことにあるはずです。
 たしかに現場のドライバーさんの努力には頭が下がります。いつも時間内に届けてくれて感謝しています。でも、現場が何とかしてしまっていることで、上層部が根本的な解決を怠っていたのであり、あくまでも責任はヤマトの上層部であり、問題の原因もすべてそこでしょう。予告もなく配達に来て不在でしたなんて当然織り込み済みのはずです。
 再配達を有料にするなど本末転倒の議論がまかり通るのは、みんな本質を見ていないからだと思います。

 このヤマトだけではなく、様々な雇用の場において現場の労働者に全て無理がかかっています。そして、働き方改革などというのは所詮は公務員や一部大企業のような恵まれた人達だけに当てはまることでしょう。いくら政府がそのような政策を推進したところで、ギリギリでやっている中小企業には無理ですし、非正規雇用の人々には全く関係のない話です。つまり、働き方改革はいまの正規非正規の身分差別を助長するだけでしかないと思います。

 今必要なのは一部の恵まれた既得権をより強化するようなことではなく、もう一度全ての労働条件を同一にすることではないかと思うのです。まず正規非正規という身分差別を撤廃する必要があります。そして、労働者の流動性を図るような制度設計が必要です。諸悪の根源は、一度レールを外れたら二度と復活できないような雇用制度でしょう。正規雇用の解雇規制がその根本にあります。そすれば大企業に存在するという「追い出し部屋」なる陰湿なやり方も不要になります。企業側も労働者を合理的に雇用し解雇できますし、労働者側も簡単に再就職できるようにできればいいだけです。これは公務員も例外ではありません。公務員雇用の年齢制限を撤廃すべきです。

 これは正規雇用を束縛している現在の問題から彼らを解放することにもなります。辞めたくても辞められないで追い詰められて自殺するなんて悲劇もなくなります。いやなら辞めればいいんですから。
 人材の流動化と社会保障制度の再構築はいまの疲弊した日本を生き返らせるためにも絶対必要なことだと思います。
 頭のいい学者先生、特に経済学者は反対するでしょう。もちろん企業の側も反対するでしょう。でも、何もかもが制度疲労を起こしていると考えればもう一度根本から立て直さない限り、小手先の方法を用いても何も変わりません。それでいて、どうにもならなくなり結局ガラガラポンというのでは、20世紀前半の敗戦と全く同じです。次の焼け野原では再び立ち上がれるとは限りません。かろうじて国力を保っている今こそ自己改革が可能だと思うのです。

 そのためには、正規非正規の差別を人権問題と考え労働法制の改革の第一歩とすべきではないかと思います。まず、「正規非正規差別禁止法(仮)」と「解雇再雇用流動化法(仮)」を制定すべきだと思います。